1.取組の発展
埼玉県教育委員会とCoREFとの「知識構成型ジグソー法」を活用した協調学習の授業づくり研究連携は、平成22年度に10校から26名の先生方を研究推進委員とした「県立高校学力向上基盤形成事業」としてスタートしました。その後、平成24年度からは3年間の「未来を拓く『学び』推進事業」、平成27年度からは5年間の「未来を拓く『学び』プロジェクト」として事業を継続発展させ、令和元年度には県内の全ての県立高校が事業に参加するまでに拡大し、現在に至ります。
埼玉県の定めたプロジェクトの目的は、「生徒のコミュニケーション能力、問題解決能力、情報活用能力など、これからの時代を主体的に生きるために必要な資質・能力の育成を目指し、『知識構成型ジグソー法』による協調学習の授業づくりを中心とするアクティブ・ラーニングに関する研究に取り組む」です。
近年では、「知識構成型ジグソー法」を一つの共通言語にしながら、生徒の学びの過程に焦点化した授業研究を進めることで、手法の枠を超えた主体的・対話的で深い学びの実践を追究する先生方の様子も見られます。
2.多面的なプロジェクト展開
埼玉県との取組の特徴は、関連事業の多様な展開です。中核となる授業づくりプロジェクトの成果(授業改善のリーダーとなる先生方、開発教材)を活用した初任者研修の展開や事業展開の基盤を支える指導主事、管理職の研修、中核となる先生方のさらなる学びとつながりの場を用意するマイスター認定研修といった多様な事業の展開が背景にあって、県内の高校教員の3分の1以上が協調学習の授業づくりを経験している(初任者研修での実績含む)という広がりが起こっています。
またこうした実績を背景に平成28~30年度には、埼玉県がJICA(国際協力機構)の草の根技術協力事業として、フィリピン共和国教育省第7地域事務所(セブ地域)と連携し、協調学習の教員研修支援 を行いました。
3.実績
- 全県立高校139校に加え、市立高校4校、県立中学校1校がプロジェクトに参加(県内の市町村立学校は、別途「新しい学びプロジェクト」に参加)
- 全17教科で約2000の「知識構成型ジグソー法」実践例(授業案、教材、授業の振り返り)をデータベースとして蓄積。プロジェクト参加者で共有、活用
- 「知識構成型ジグソー法」の授業を受けた高校生の71.9%が「とても楽しかった」もしくは「楽しかった」と回答。「つまらなかった」「とてもつまらなかった」回答は3.0%。多くの生徒が対話を通じて理解を深める学びを歓迎する傾向は、上位進学校でも、進路多様校でも変わらない(研究当初からの8年間のべ39,000名超のアンケートより)
- 参加する先生方のご感想として「普段の授業とは違う生徒の姿が見えた」「(知識構成型ジグソー法を使わない)普段の授業も変わった」「大学入試を考えても、こうした授業で培える力は重要」等
※プロジェクト参加者の感想については、CoREF令和3年度活動報告書第2章を参照のこと
4.関連情報
〇プロジェクトの詳細については、各年度の活動報告書をご覧ください。
CoREFプロジェクト推進部門 自治体との連携による協調学習の授業づくりプロジェクト 活動報告書 (ni-coref.or.jp)
〇埼玉県との連携の大きな特色の一つである高等学校初任者研修(授業力向上研修)については、平成28年度活動報告書第1部第2章にて詳しく紹介しています。
〇埼玉県によるプロジェクトの紹介ページはこちらです。
「学びの改革」の推進 – 埼玉県 (saitama.lg.jp)